授業を行う先生へ

・本教材シリーズでは、善悪がはっきりしない状況や、つい見落とされがちな問題を積極的に取り上げ、リアリティのある物語として描いています。本教材をとおして、一人一人がいじめゲームのルールを変えるチェンジャーズとなっていってほしいという願いのもと制作をいたしました。

・教材を見れば、子どもたちからは何か言いたいことが出てくるはずです。子どもたちによる話し合いを中心に授業を進めてください。話し合いの時間をできるだけ多くとれるように、短めの尺の中で問題点を具体的に描いています。すぐに答えが出ないような難問についてねばりづよく話し合いながら、他者への想像力を養っていってほしいです。

・授業中は、子どもの話を丁寧に聞いたり、もやもやに共感したりする時間を大切にしてほしいです。「こうすべき」という結論を急がず、本音が出されることや、多様な意見が出されること、少数派の意見を丁寧に聞くことなどを大事にしてほしいです。

・オープンエンドで終わることを想定していますが、「本時では多様な考えが出されてよかった」というだけではなく、「これから自分(たち)には何ができるだろうか」と今後の生活につながるような終末を目指したいと考えています。授業時間内に1つの結論を出す必要はなく、これからチェンジャーズになるためのきっかけを掴んでもらいたいと思っています。

・モデル指導案を掲載しておりますが、クラスや子どもたちの実態に合わせ話し合いが深まるよう、自由に柔軟に授業を展開してください。1つの教材の中に、複数の問題が描かれており、主人公以外の視点から議論をすることが可能な教材もあります。道徳科、特別活動、総合的な学習の時間など、様々な教科等でご活用いただければ幸いです。

【プロフィール】

田中六大

東京都出身 多摩美術大学卒業。絵本作家。
主な著書「うどん対ラーメン」「ラッタくんとかみやまくん」「おしっこもらスター」「ふしぎなえき」など。
現在、朝日小学生新聞に、週1で4コマ「へんてこふしぎ係アルカナ」連載中。

【作者コメント】

僕が小学校の頃も、このように、やってる人たちは遊びだと思っていることが、やられている僕にはいじめのように感じられていることがありました。そして、その時の嫌な感じは、40歳を過ぎた今でも忘れられません。 逆に、何気なく言ってしまった一言が人を傷つけてしまったなと後悔していることこともあります。 大人になっても失敗することは多々あります。特に子供のうちはまだまだ人間関係でうまくいかないことも多いと思います。周りの人たちに相談したりしながら、大きく傷つけることも傷つくこともなく、生活できると良いなと思います。

楽しい? ふでばこさがしゲーム

ゲームノリからかい ものかくしいたずらドッキリ

 本教材は、主人公ケントが「置いてあったはずのふでばこが見あたらない」と困っている場面から始まります。友達二人がいたずらで隠したという訳です。二人は遊び半分、つまり「いたずら」のつもりでふでばこを隠しており、このことを楽しい「ゲーム」と認識しています。最初は二人の「ゲーム」にノッたふりをしていたケントですが、「ゲーム」は何日も続き、うんざりした気持ちになってきます。こうした例のように、友達に「ドッキリ」のようないたずらをしかけて、反応を見て楽しむ様子が見られることがあります。
 自分一人が何も分かっておらず右往左往する様を、他者から好奇の目で見られることは、強いストレスにつながります。これは楽しいイメージのある「ドッキリ」がはらむ問題かもしれません。なぜこうした問題が起こってしまうのか、人に見られることの心理を想像しながら話し合ってみてほしいです。

対応する教科等  道徳:友情、信頼 / 相互理解、寛容 / 善悪の判断 SOSの出し方に関する教育 特別活動

作者:田中六大

脚本:阿部 学 | 映像制作:303BOOKS
※指導案・作品台本は以下からダウンロードなしで直接閲覧可能です。
 指導案  台本

いじめといじり、どう違う?

中学生のジュンはちょっとおとなしい性格。ふとしたことから、お笑い芸人のモノマネをするよういじられ始める。いじりがエスカレートする中、ジュンは、いじられキャラを受け入れるか悩む…。

いじり 同調圧力 部活

一生懸命じゃいけないの?

学級委員長として一生懸命がんばる美月(みづき)は、ふざけるクラスメイトを強く注意したことで、皆から反感を買ってしまう。副委員長の小花田(おはなだ)は、美月とクラスメイトとの間で、自分がどうすべきか思い悩む…。

同調圧力 傍観者

自分のSNSなら何を書いてもいい?

サッカー部の夏の大会は、オサムのPK失敗により終わってしまった。もやもやした気持ちを抱えるトモノリは、自分のSNSのプロフィール欄に、間接的にオサムの悪口を書く。書き込みをした瞬間は気が晴れたトモノリであったが…。

ネットいじめ SNS 傍観者 部活

「決めつけ」が人を傷つける?

ある日、シオリが鞄につけていたマスコットがなくなった。クラスメイトは憶測でミユが盗ったのではないかと言う。母親からは「その子とは関わらない方がいい」と言われ、シオリはミユとの付き合い方に悩む…。

家族 友達 思い込み 傍観者

白熱するオンラインゲーム

マサルたち仲良し4人組は、オンラインゲームにハマっている。最初は楽しく遊んでいた4人だったが、白熱するあまり暴言が飛び交うようになる。そうした雰囲気が好きではないマサルは、ゲームが楽しくなくなってきていることに気づく…。

オンラインゲーム コミュニケーション 言葉づかい

男女で遊んじゃいけないの?

小学生の美咲(女子)は、いつも男子たちとカードゲームで遊んでいる。ところが、同じクラスの女子グループはそんな美咲のことをよく思っていない。美咲は、女子グループに「男子じゃなくうちらと遊ぼう」と言われ困惑する…。

ジェンダー カードゲーム 同調圧力

親には心配をかけたくない

合唱コンクールの指揮者になったシンペイは、一生懸命がんばろうとするあまり、クラスメイトから反感を買ってしまう。「学校に行きたくない」と思うシンペイだが、指揮者になったことを喜び期待してくれている母親に、そのことを言い出せない…。

SOS SNSいじめ リーダーシップ マザーコンプレックス 子離れ

大ごとにはしたくない

小学生のミナミは、クラスメイトから容姿についての悪口を言われている。ミナミは、担任の先生や親にそのことを相談しようかと一度は思うのだが、「相談をしたら、大ごとにされてしまうかもしれない」と想像し、ためらってしまう…。

SOS 容姿いじり ルッキズム

みんなでそろえたマスコット

ヒマリ、ユイ、リコ、メイは、演劇部の仲良し4人組。いつも一緒に行動していたのだが、ユイが次の公演の主役に抜擢された時から、なんとなくイヤな空気が流れ始める。ある日の帰り道、遅れてきたユイは、他の3人がおそろいのマスコットを付けていることに気づく…。

部活動 仲間外れ 同調圧力 ほのめかし おそろい

先輩には何も言えない

中学1年生になったマリアは、念願だったバスケ部に入部し、練習に励んでいた。ところがある日、悪気なくあいさつを無視してしまったことが原因となり、先輩たちから強く当たられるようになってしまう。同期の友人たちはマリアに同情するものの、みな、先輩には何も言えず…。

部活動 上下関係 年功序列 しごき ハラスメント 挨拶

もえあがる応援席

カノンの学校では、クラス対抗のスポーツ大会がある。スポーツが得意なカノンは試合で大活躍。応援の声もどんどん大きくなっていく。ところが、もえあがる応援席からは次第に暴言や嘲笑の声も聞こえるようになる。試合には勝ったものの、カノンにはもやもやした気持ちが残る…。

応援 空気 ノリ 雰囲気 スポーツ ヒートアップ

相談しなくても大丈夫?

小学生のチカは、クラスメイトから容姿のことをからかわれている。そのことを母親に相談しようと一度は勇気をふりしぼったのだが、タイミングを逸してしまう。それからチカは「相談しなくても大丈夫」だと思うようになってしまう…。

相談 SOS 容姿いじり 悩み 不安 ルッキズム

ナイスプレー、みんなでタッチ!

カズマたちのクラスでは、サッカーが大人気。休み時間には、みんなで外に出て楽しく遊んでいる。そのうちに、いいプレーをすると体のあちこちをタッチしあうノリが広がっていく。体をタッチされたくないカズマは一人悩むことになる…。

プライベートゾーン 生命の安全教育 距離感 SOS