先輩には何も言えない
多くの部活動には、先輩―後輩の関係性があります。先輩が後輩を引っ張ったり、後輩が先輩に憧れたりと、その関係性がよい方向にはたらくことも多いはずですが、時に、理不尽な上下関係が生じてしまうこともあるでしょう。ともすれば、ハラスメントやいじめにあたる行為が正当化されることもあるかもしれません。
本教材では、後輩のマリアが悪気なく先輩のあいさつを無視してしまったことをきっかけに、先輩からの「しごき」が始まってしまいます。その「しごき」は、あくまで部活のメニューの中で行われるため、はたからは問題を指摘しづらいものとなっています。マリアの同期たちも心配はしていますが、先輩に何かを訴えるのは簡単なことではないようです。
いじめ問題に関する教材の多くは、同じクラスや同年代の仲間などを描いたものとなっています。一方で、本教材は、先輩―後輩という上下関係に焦点を当たものとなっています。いつもとは異なった角度から、いじめや人権についての話し合いをしてみてほしいです。