授業を行う先生へ

・本教材シリーズでは、善悪がはっきりしない状況や、つい見落とされがちな問題を積極的に取り上げ、リアリティのある物語として描いています。本教材をとおして、一人一人がいじめゲームのルールを変えるチェンジャーズとなっていってほしいという願いのもと制作をいたしました。

・教材を見れば、子どもたちからは何か言いたいことが出てくるはずです。子どもたちによる話し合いを中心に授業を進めてください。話し合いの時間をできるだけ多くとれるように、短めの尺の中で問題点を具体的に描いています。すぐに答えが出ないような難問についてねばりづよく話し合いながら、他者への想像力を養っていってほしいです。

・授業中は、子どもの話を丁寧に聞いたり、もやもやに共感したりする時間を大切にしてほしいです。「こうすべき」という結論を急がず、本音が出されることや、多様な意見が出されること、少数派の意見を丁寧に聞くことなどを大事にしてほしいです。

・オープンエンドで終わることを想定していますが、「本時では多様な考えが出されてよかった」というだけではなく、「これから自分(たち)には何ができるだろうか」と今後の生活につながるような終末を目指したいと考えています。授業時間内に1つの結論を出す必要はなく、これからチェンジャーズになるためのきっかけを掴んでもらいたいと思っています。

・モデル指導案を掲載しておりますが、クラスや子どもたちの実態に合わせ話し合いが深まるよう、自由に柔軟に授業を展開してください。1つの教材の中に、複数の問題が描かれており、主人公以外の視点から議論をすることが可能な教材もあります。道徳科、特別活動、総合的な学習の時間など、様々な教科等でご活用いただければ幸いです。

【プロフィール】

呉々(くれぐれ)

1995年10月1日生まれ 愛知県在住
名古屋造形大学卒イラストレーター。在学当時から携帯アプリのキャラクターデザインやグラフィックを担当するなどイラストの仕事を手掛けていた。卒業後は小説の挿絵・PCゲームキャラクターデザインやグラフィック・Vtuberデザイン・漫画連載など幅広い分野で活躍している。

【作者コメント】

私が中学生の時、学年で孤立した時期があり助けて欲しいのにどうしても頼れない、言えないという経験をし不登校になりかけた事がありました。その経験から主人公の男の子に対して自分と重なる部分を感じ、クラスで孤立する主人公に寄り添うように心がけて作品を制作させていただきました。今はSNSで誰もが発信できる時代ですので冗談のつもりで軽く悪口を書き込み、人を傷つける事も沢山あるんじゃないかと思います。主人公がクラスのSNS投稿を観てしまうという場面は特に子どもに観て欲しいシーンです。
当時の自分と同じように今現在言いづらい、言えないという孤独を感じている子どもが授業を通して周りの大人に話すきっかけになったり、周りの子どもが自分のしてしまっている事に気付くきっかけになるようにと願いを込めています。

親には心配をかけたくない

子離れマザーコンプレックスリーダーシップSNSいじめSOS

 悩みや不安を抱えたときには、誰かに早めにSOSを出すことが大切です。近年、学校においても「SOSの出し方に関する教育」を進めることが求められています。
 しかし、子どもにとってはSOSを出すのは簡単なことではないかもしれません。本教材では、SNSで悪口を言われていることを知り、学校に行きたくないと悩みながらも、母親に言い出せない中学生シンペイの葛藤が描かれます。母親は、最近シンペイが合唱コンクールの指揮者になったことを喜んでおり、毎朝「がんばってね」と声をかけてくれています。シンペイは「本当は相談をしたいのだけど、自分に期待をする母親に心配をかけたくない」と思っているのです。
 「相談はしたいが、心配はかけたくない」という悩みがあることをふまえ、その上で、うまく誰かに頼れるようになるにはどうしたらよいのか、本教材を見ながら皆で考えてみてほしいです。

対応する教科等  道徳:正直、誠実/相互理解、寛容/家族愛、家庭生活の充実 体育:保健(不安、悩みへの対処) SOSの出し方に関する教育 特別活動

作者:呉々(くれぐれ)

脚本:阿部 学 | 映像制作:303BOOKS
※指導案・作品台本は以下からダウンロードなしで直接閲覧可能です。
 指導案  台本


いじめといじり、どう違う?

中学生のジュンはちょっとおとなしい性格。ふとしたことから、お笑い芸人のモノマネをするよういじられ始める。いじりがエスカレートする中、ジュンは、いじられキャラを受け入れるか悩む…。

いじり 同調圧力 部活

一生懸命じゃいけないの?

学級委員長として一生懸命がんばる美月(みづき)は、ふざけるクラスメイトを強く注意したことで、皆から反感を買ってしまう。副委員長の小花田(おはなだ)は、美月とクラスメイトとの間で、自分がどうすべきか思い悩む…。

同調圧力 傍観者

自分のSNSなら何を書いてもいい?

サッカー部の夏の大会は、オサムのPK失敗により終わってしまった。もやもやした気持ちを抱えるトモノリは、自分のSNSのプロフィール欄に、間接的にオサムの悪口を書く。書き込みをした瞬間は気が晴れたトモノリであったが…。

ネットいじめ SNS 傍観者 部活

「決めつけ」が人を傷つける?

ある日、シオリが鞄につけていたマスコットがなくなった。クラスメイトは憶測でミユが盗ったのではないかと言う。母親からは「その子とは関わらない方がいい」と言われ、シオリはミユとの付き合い方に悩む…。

家族 友達 思い込み 傍観者

白熱するオンラインゲーム

マサルたち仲良し4人組は、オンラインゲームにハマっている。最初は楽しく遊んでいた4人だったが、白熱するあまり暴言が飛び交うようになる。そうした雰囲気が好きではないマサルは、ゲームが楽しくなくなってきていることに気づく…。

オンラインゲーム コミュニケーション 言葉づかい

男女で遊んじゃいけないの?

小学生の美咲(女子)は、いつも男子たちとカードゲームで遊んでいる。ところが、同じクラスの女子グループはそんな美咲のことをよく思っていない。美咲は、女子グループに「男子じゃなくうちらと遊ぼう」と言われ困惑する…。

ジェンダー カードゲーム 同調圧力

大ごとにはしたくない

小学生のミナミは、クラスメイトから容姿についての悪口を言われている。ミナミは、担任の先生や親にそのことを相談しようかと一度は思うのだが、「相談をしたら、大ごとにされてしまうかもしれない」と想像し、ためらってしまう…。

SOS 容姿いじり ルッキズム

みんなでそろえたマスコット

ヒマリ、ユイ、リコ、メイは、演劇部の仲良し4人組。いつも一緒に行動していたのだが、ユイが次の公演の主役に抜擢された時から、なんとなくイヤな空気が流れ始める。ある日の帰り道、遅れてきたユイは、他の3人がおそろいのマスコットを付けていることに気づく…。

部活動 仲間外れ 同調圧力 ほのめかし おそろい

先輩には何も言えない

中学1年生になったマリアは、念願だったバスケ部に入部し、練習に励んでいた。ところがある日、悪気なくあいさつを無視してしまったことが原因となり、先輩たちから強く当たられるようになってしまう。同期の友人たちはマリアに同情するものの、みな、先輩には何も言えず…。

部活動 上下関係 年功序列 しごき ハラスメント 挨拶