授業を行う先生へ

・本教材シリーズでは、善悪がはっきりしない状況や、つい見落とされがちな問題を積極的に取り上げ、リアリティのある物語として描いています。本教材をとおして、一人一人がいじめゲームのルールを変えるチェンジャーズとなっていってほしいという願いのもと制作をいたしました。

・教材を見れば、子どもたちからは何か言いたいことが出てくるはずです。子どもたちによる話し合いを中心に授業を進めてください。話し合いの時間をできるだけ多くとれるように、短めの尺の中で問題点を具体的に描いています。すぐに答えが出ないような難問についてねばりづよく話し合いながら、他者への想像力を養っていってほしいです。

・授業中は、子どもの話を丁寧に聞いたり、もやもやに共感したりする時間を大切にしてほしいです。「こうすべき」という結論を急がず、本音が出されることや、多様な意見が出されること、少数派の意見を丁寧に聞くことなどを大事にしてほしいです。

・オープンエンドで終わることを想定していますが、「本時では多様な考えが出されてよかった」というだけではなく、「これから自分(たち)には何ができるだろうか」と今後の生活につながるような終末を目指したいと考えています。授業時間内に1つの結論を出す必要はなく、これからチェンジャーズになるためのきっかけを掴んでもらいたいと思っています。

・モデル指導案を掲載しておりますが、クラスや子どもたちの実態に合わせ話し合いが深まるよう、自由に柔軟に授業を展開してください。1つの教材の中に、複数の問題が描かれており、主人公以外の視点から議論をすることが可能な教材もあります。道徳科、特別活動、総合的な学習の時間など、様々な教科等でご活用いただければ幸いです。

【プロフィール】

伊豆見香苗(イズミカナエ)

1993年沖縄生まれ。現在関東在住。
アニメーション、イラストレーション、漫画など幅広く活動中。
ライフワークとして1日1個GIFアニメを製作しSNS上に投稿している。
「#GIFの伊豆見」としてSNSで人気を博し、代表作ともいえる「えっびっ」は、LINEスタンプDL数でもランキング入りするなどの大ヒット。他にも「れっもっんっ」や「いっぬっ」、「ぎょっうっざっ」などユニークなモチーフのキャラクターが、激しい動きをするLINEスタンプが話題。

【作者コメント】

こういった「いじめ」や「いじり」のことで悩んでいる人達はとても多いと思います。
部活動特有の熱血=優しさと捉える部活もあると思いますが、その曖昧さやなんとも言えない感じをイラストで表現しました。
悩んでいる方がいましたら家族や友人、先生などに相談したり。相談された側もその子に親身に寄り添ってあげられるきっかけになればいいなと思います。

先輩には何も言えない

挨拶ハラスメントしごき年功序列上下関係部活動

 多くの部活動には、先輩―後輩の関係性があります。先輩が後輩を引っ張ったり、後輩が先輩に憧れたりと、その関係性がよい方向にはたらくことも多いはずですが、時に、理不尽な上下関係が生じてしまうこともあるでしょう。ともすれば、ハラスメントやいじめにあたる行為が正当化されることもあるかもしれません。
 本教材では、後輩のマリアが悪気なく先輩のあいさつを無視してしまったことをきっかけに、先輩からの「しごき」が始まってしまいます。その「しごき」は、あくまで部活のメニューの中で行われるため、はたからは問題を指摘しづらいものとなっています。マリアの同期たちも心配はしていますが、先輩に何かを訴えるのは簡単なことではないようです。
 いじめ問題に関する教材の多くは、同じクラスや同年代の仲間などを描いたものとなっています。一方で、本教材は、先輩―後輩という上下関係に焦点を当たものとなっています。いつもとは異なった角度から、いじめや人権についての話し合いをしてみてほしいです。

対応する教科等  道徳:よりよい学校生活、集団生活の充実/相互理解、寛容/希望と勇気、努力と強い意志 体育:保健(不安、悩みへの対処) SOSの出し方に関する教育 特別活動

作者:伊豆見香苗(イズミカナエ)

脚本:阿部 学 | 映像制作:303BOOKS
※指導案・作品台本は以下からダウンロードなしで直接閲覧可能です。
 指導案  台本


いじめといじり、どう違う?

中学生のジュンはちょっとおとなしい性格。ふとしたことから、お笑い芸人のモノマネをするよういじられ始める。いじりがエスカレートする中、ジュンは、いじられキャラを受け入れるか悩む…。

いじり 同調圧力 部活

一生懸命じゃいけないの?

学級委員長として一生懸命がんばる美月(みづき)は、ふざけるクラスメイトを強く注意したことで、皆から反感を買ってしまう。副委員長の小花田(おはなだ)は、美月とクラスメイトとの間で、自分がどうすべきか思い悩む…。

同調圧力 傍観者

自分のSNSなら何を書いてもいい?

サッカー部の夏の大会は、オサムのPK失敗により終わってしまった。もやもやした気持ちを抱えるトモノリは、自分のSNSのプロフィール欄に、間接的にオサムの悪口を書く。書き込みをした瞬間は気が晴れたトモノリであったが…。

ネットいじめ SNS 傍観者 部活

「決めつけ」が人を傷つける?

ある日、シオリが鞄につけていたマスコットがなくなった。クラスメイトは憶測でミユが盗ったのではないかと言う。母親からは「その子とは関わらない方がいい」と言われ、シオリはミユとの付き合い方に悩む…。

家族 友達 思い込み 傍観者

白熱するオンラインゲーム

マサルたち仲良し4人組は、オンラインゲームにハマっている。最初は楽しく遊んでいた4人だったが、白熱するあまり暴言が飛び交うようになる。そうした雰囲気が好きではないマサルは、ゲームが楽しくなくなってきていることに気づく…。

オンラインゲーム コミュニケーション 言葉づかい

男女で遊んじゃいけないの?

小学生の美咲(女子)は、いつも男子たちとカードゲームで遊んでいる。ところが、同じクラスの女子グループはそんな美咲のことをよく思っていない。美咲は、女子グループに「男子じゃなくうちらと遊ぼう」と言われ困惑する…。

ジェンダー カードゲーム 同調圧力

親には心配をかけたくない

合唱コンクールの指揮者になったシンペイは、一生懸命がんばろうとするあまり、クラスメイトから反感を買ってしまう。「学校に行きたくない」と思うシンペイだが、指揮者になったことを喜び期待してくれている母親に、そのことを言い出せない…。

SOS SNSいじめ リーダーシップ マザーコンプレックス 子離れ

大ごとにはしたくない

小学生のミナミは、クラスメイトから容姿についての悪口を言われている。ミナミは、担任の先生や親にそのことを相談しようかと一度は思うのだが、「相談をしたら、大ごとにされてしまうかもしれない」と想像し、ためらってしまう…。

SOS 容姿いじり ルッキズム

みんなでそろえたマスコット

ヒマリ、ユイ、リコ、メイは、演劇部の仲良し4人組。いつも一緒に行動していたのだが、ユイが次の公演の主役に抜擢された時から、なんとなくイヤな空気が流れ始める。ある日の帰り道、遅れてきたユイは、他の3人がおそろいのマスコットを付けていることに気づく…。

部活動 仲間外れ 同調圧力 ほのめかし おそろい