授業を行う先生へ

・本教材シリーズでは、善悪がはっきりしない状況や、つい見落とされがちな問題を積極的に取り上げ、リアリティのある物語として描いています。本教材をとおして、一人一人がいじめゲームのルールを変えるチェンジャーズとなっていってほしいという願いのもと制作をいたしました。

・教材を見れば、子どもたちからは何か言いたいことが出てくるはずです。子どもたちによる話し合いを中心に授業を進めてください。話し合いの時間をできるだけ多くとれるように、短めの尺の中で問題点を具体的に描いています。すぐに答えが出ないような難問についてねばりづよく話し合いながら、他者への想像力を養っていってほしいです。

・授業中は、子どもの話を丁寧に聞いたり、もやもやに共感したりする時間を大切にしてほしいです。「こうすべき」という結論を急がず、本音が出されることや、多様な意見が出されること、少数派の意見を丁寧に聞くことなどを大事にしてほしいです。

・オープンエンドで終わることを想定していますが、「本時では多様な考えが出されてよかった」というだけではなく、「これから自分(たち)には何ができるだろうか」と今後の生活につながるような終末を目指したいと考えています。授業時間内に1つの結論を出す必要はなく、これからチェンジャーズになるためのきっかけを掴んでもらいたいと思っています。

・モデル指導案を掲載しておりますが、クラスや子どもたちの実態に合わせ話し合いが深まるよう、自由に柔軟に授業を展開してください。1つの教材の中に、複数の問題が描かれており、主人公以外の視点から議論をすることが可能な教材もあります。道徳科、特別活動、総合的な学習の時間など、様々な教科等でご活用いただければ幸いです。

【プロフィール】

宮尾和孝

1978年、東京生まれ。イラストレーター。
児童書のさし絵の作品では、「教室に幽霊がいる!? 」(金の星社)
「流れ星キャンプ」(あかね書房)
カバー絵の作品に「十一月のマーブル」(講談社)
「心の友だちシリーズ」(PHP研究所)などがある。

【作者コメント】

打ち合わせさせて頂いた時点では、女の子同士のあるあるなのかなあ、ちょっとわからないところもあるかも、とか思ってましたが、描きながら考えてると、自分もそのぐらいの歳のときに、先に思春期に突入して恋愛!モテたい!カッコつけたい!と変わっていくグループの子たちと、少しずつズレが出来ていったのを思い出しました。僕はまだ子供っぽいくだらないことで遊ぶのがとにかく楽しく、みんなもそうに違いないと思ってたのですが「そういうダサいのもういいよ」て子達もいて。その時は寂しかったりムカついたりするのだけど、後々「自分だってカッコつけたい、こんなことしてる場合と違う!」とわかる時期が僕にも来て、みんなだんだん変わっていくんですよね。モテであったり、夢であったり人それぞれですけど。その過程で元々すごく仲良かったのに疎遠になったり、逆にあんまり好きじゃなかった奴と、すごく仲良くなったりする事もあったりが面白く、それが思春期の楽しさだったり辛さだったりするわけで、それを1ミリでもいいし、結果論でもいいので、前向きに感じれる子どもたちが増えるといいなあと思ってます。だからこそ、面白いし、没頭するし、しくじった時の反動も大きい。大人から見れば「そんなことで傷つく??」てことで傷ついちゃうのも仕方ないと思います。子供が没頭することってすごくいい事なので、そこはそこでグングン伸ばしつつ、でもどこかで一歩引いて俯瞰で見て考えられる子どもたちになってほしいと思ってます。

男女で遊んじゃいけないの?

同調圧力カードゲームジェンダー

 本教材の主人公は、幼少の頃から男子と遊ぶのが好きで、最近はカードゲームに夢中になっている小学校の女子・美咲です。美咲は、男女の区別の意識がなく、好きな友だちと好きな遊びを楽しんでいます。
 その美咲と同じクラスのとある女子グループは、男子と遊ぶ美咲のことをよく思っていません。女子グループは、「自分たち女子グループに入らないと排除されてしまう。男子と遊ぶのはやめて自分たちと遊んだほうがよい」と美咲に「助言」をします。
 男女の区別に無自覚的だった美咲は、突然言われた言葉に困惑してしまいます。美咲の困惑に寄り添いながら、性別による区別、仲良くするとはどういうことか、日常に生じる同調圧力などをテーマに、話し合ってみてほしいです。

対応する教科等  道徳:相互理解、寛容 / 友情、信頼 特別活動

作者:宮尾和孝

脚本:阿部 学 | 映像制作:303BOOKS
※指導案・作品台本は以下からダウンロードなしで直接閲覧可能です。
 指導案  台本


いじめといじり、どう違う?

中学生のジュンはちょっとおとなしい性格。ふとしたことから、お笑い芸人のモノマネをするよういじられ始める。いじりがエスカレートする中、ジュンは、いじられキャラを受け入れるか悩む…。

いじり 同調圧力 部活

一生懸命じゃいけないの?

学級委員長として一生懸命がんばる美月(みづき)は、ふざけるクラスメイトを強く注意したことで、皆から反感を買ってしまう。副委員長の小花田(おはなだ)は、美月とクラスメイトとの間で、自分がどうすべきか思い悩む…。

同調圧力 傍観者

自分のSNSなら何を書いてもいい?

サッカー部の夏の大会は、オサムのPK失敗により終わってしまった。もやもやした気持ちを抱えるトモノリは、自分のSNSのプロフィール欄に、間接的にオサムの悪口を書く。書き込みをした瞬間は気が晴れたトモノリであったが…。

ネットいじめ SNS 傍観者 部活

「決めつけ」が人を傷つける?

ある日、シオリが鞄につけていたマスコットがなくなった。クラスメイトは憶測でミユが盗ったのではないかと言う。母親からは「その子とは関わらない方がいい」と言われ、シオリはミユとの付き合い方に悩む…。

家族 友達 思い込み 傍観者

白熱するオンラインゲーム

マサルたち仲良し4人組は、オンラインゲームにハマっている。最初は楽しく遊んでいた4人だったが、白熱するあまり暴言が飛び交うようになる。そうした雰囲気が好きではないマサルは、ゲームが楽しくなくなってきていることに気づく…。

オンラインゲーム コミュニケーション 言葉づかい

親には心配をかけたくない

合唱コンクールの指揮者になったシンペイは、一生懸命がんばろうとするあまり、クラスメイトから反感を買ってしまう。「学校に行きたくない」と思うシンペイだが、指揮者になったことを喜び期待してくれている母親に、そのことを言い出せない…。

SOS SNSいじめ リーダーシップ マザーコンプレックス 子離れ

大ごとにはしたくない

小学生のミナミは、クラスメイトから容姿についての悪口を言われている。ミナミは、担任の先生や親にそのことを相談しようかと一度は思うのだが、「相談をしたら、大ごとにされてしまうかもしれない」と想像し、ためらってしまう…。

SOS 容姿いじり ルッキズム

みんなでそろえたマスコット

ヒマリ、ユイ、リコ、メイは、演劇部の仲良し4人組。いつも一緒に行動していたのだが、ユイが次の公演の主役に抜擢された時から、なんとなくイヤな空気が流れ始める。ある日の帰り道、遅れてきたユイは、他の3人がおそろいのマスコットを付けていることに気づく…。

部活動 仲間外れ 同調圧力 ほのめかし おそろい

先輩には何も言えない

中学1年生になったマリアは、念願だったバスケ部に入部し、練習に励んでいた。ところがある日、悪気なくあいさつを無視してしまったことが原因となり、先輩たちから強く当たられるようになってしまう。同期の友人たちはマリアに同情するものの、みな、先輩には何も言えず…。

部活動 上下関係 年功序列 しごき ハラスメント 挨拶